Story4：「患者を救いたい兄、弱者の味方をめざす弟」
先生！本城先生！
ひとりの男性が
足早に行き過ぎる医者を呼び止める。
母が大変お世話になりました
先生の発見と処置が早かったおかげで
恐ろしい感染症を克服して
無事退院できることになりました
すぐに検査をして
呼吸器科に廻していただいた
本城先生のおかげです
それはよかった！
でも僕は外科医なんで
あまりお役に立てませんでしたが…
でも医者であることには変わりありません
こんな時だからこそ
ひとりでも多くの患者さんの命を
守りたいと思ってます
でもお母さん
元気になられて本当によかった
僕もうれしいです
返事をしたのは
この病院の御曹司でもある本城一輝
このところの感染症対応で
ほぼ不眠不休で
治療や院内での仕事に追われている
それでも疲れた顔をまったく見せずに
患者や家族と接する
丁寧で真面目な語り口調に
受付の女性同士がヒソヒソと
ねぇねぇ
本城先生って本当にいつもステキだよね
外科医としての腕もいいし
病院の跡取りなのに、偉そうなところ無いし
私たちのことも優しく気遣ってくれるし
先生っていい人、いるんだっけ？
本城先生には
院長が決めた婚約者がいるって噂だけど…
そういえばそんな噂があるけど…
でもその婚約者って見たことないよね
はぁ、私も本城先生と恋してみたい‥！
と、うっとりとした顔をする。
女性達の視線をいつも独り占めする彼は
そうしたささやきを耳にしても
動じることなく外科外来に向かう。
でも本城の心の声は
はぁ‥俺だって真剣な恋がしたいよ…
とつぶやく。
颯爽と立ち去る本城の後ろ姿に
兄さん！
後ろから声をかけたのは
彼の異母弟、桐生双葉
受付の女性達の会話を小耳に挟んでいた双葉は
兄さんの婚約者の話がひろまってるね？
本当にいいの？
本城がそれに反応する
…父さん達の言いなりになるつもりはないよ
心配してくれてるのか…笑
ありがとうな
それより双葉、お前大学はどうした‥？
今日は自主休講…
少し甘えたように話す仕草の双葉に
本城は突き放すような口調で
しっかり勉強頑張れよ
司法試験受けるんだろ？
…兄さんに言われなくても頑張るよ！
やり方は違うけど
兄さんが今
必死で患者さんを助けているように
俺は俺のやりかたで
弱い立場の人達を助けたいから
まだ少し幼さの残る顔で
すねるように少し頬を膨らませて
続ける双葉。
兄さんこそ
この病院の跡取りなんだから
しっかり病院を守っていけよな！
少し寂しそうな顔をして言い放ち
走り去って行く
…なんだアイツ、相変わらずだな
ふだんからよく面倒を見ている後輩の医者が
本城を見つけて声をかけてくる。
本城先生！
連日の居残り当直勤務
本当におつかれさまです
この騒ぎがおさまったら
医局のみんなで飲みに行きたいですね！
それとも彼女とのデート優先ですか…笑
本城に彼女と呼べる女性がいないと
わかってるかのような誘い文句に
ふふ‥俺の予定は病院勤務だけだよ
日頃、めったに愚痴を言わない
彼の言葉を聞いた後輩は
じゃあ
この感染症をみんなで退治できたら
先輩を慕うメンバーで
朝までお付き合いしますよ！
後輩からの誘いに本城が応える。
そうだな
今は患者さんを一人でも救おう
そのための俺たちだからな
この病にみんなで打ち勝たないと…
そしたらみんなで祝杯だ
この病院で患者さんを
感染症で死なせたくはない
そう話す本城の眼を見て
後輩が力強くうなずいた。
（本ストーリーはアナザーワールドでのカレシたちの紹介のために制作されており、イケカレの本編チャットワールドのカレシとは直接の関係はございません）