Story3:「Upside Rocksのリハーサル中に」
〜♪〜♪♪
屋外ステージ上ではリハーサルが進む
樹〜、喉、調子いいな!
ギターをチューニング中のバンドメンバーから話かけられたのは人気バンドUpside Rocksのメインボーカル、瀬名樹。
あぁ、声は問題なし♪
今日も会場は即、完売の満席だよな
屋外での大きなライブは初めてだけど
オレ達のRockをみんなにしっかり届けようぜ
4月に入ったし
入学や入社、新学期や新しい仕事
新しいスタートを切る人も多いだろうから
オレたちの音楽が少しでもみんなを
元気に出来ればいいな♪
そういえばグッズ、また完売だってさ
Upside Rocksのスター、樹のおかげだな
ドラムを叩きながらねぎらうメンバーに
オレはひとりひとりのファンに
喜んでもらえたら満足だよ
会場を真っ直ぐな瞳で見つめる樹。
新婚のキーボードのメンバーが続けて
ファンはもちろん大事さ
でも、そろそろ樹にも
ひとりの女性を真剣に愛して
幸せをつかんでほしいよ♪
樹はすこしムキになって
オレだってひとりの女性を
愛することぐらい出来るさ
へぇ、樹にも、そんな人いたんだぁ?
いないとわかってるかのようなメンバー。
突然、舞台袖からスタッフが話しかける。
樹さん!
こちらの方が少し取材したいとのことです
よろしいですか?
オレに?誰かな…?
現れたのは人気小説家の藤崎総悟。
急にお邪魔してすいません
藤崎といいます
人気バンドのボーカルを主人公にした小説を
書こうと思ってるのですが
瀬名さんのことがすぐに頭に浮かびましたので…
…藤崎のことをどこかで見たことある気がする。
あぁ、佐倉さんのお店でよくお見かけしますね?
えぇ、僕のことをご存じでしたか?
藤崎の声が弾む
樹は藤崎のことを思い出した。
はい
いつも本を抱えていらっしゃるので
佐倉さんにたずねたら
売れっ子の小説家の先生だと
うかがいました
樹がそう返事をすると、藤崎は続けて
樹さんのおはなしを参考にさせていただいて
ラブストーリーを書きたいなと思っていまして
ご協力いただけないでしょうか
樹はきょとんとした表情で
…オレの?…はなし??
やりとりを聞いていたメンバーが茶化す。
あはは…笑
樹に恋愛物語は無理だよー!
ファンが恋人とか言ってるんだから〜
樹は苦笑しつつ
なんだよ、さっきから~
ファンは大事だろ?
失礼だろオレに…
このやりとりを見て
樹に恋人がいないとわかり
驚いたような顔で藤崎がつぶやく。
スターなのに恋人、いらっしゃらないんですか…
すかさず樹が
まぶしいくらい屈託のない笑顔で返した。
いるよ、いっぱい!
ファンひとりひとりがオレの恋人だよ♪♪
(本ストーリーはアナザーワールドでのカレシたちの紹介のために制作されており、イケカレの本編チャットワールドのカレシとは直接の関係はございません)